実績Past achievements

※下部のボタンより詳細資料が閲覧できます

企業コンサル
福祉事業所コンサル
調査・研究・セミナー

平成29年度独立行政法人福祉医療機構 社会福祉振興助成事業
「障がい者の特性に着目した仕事づくり研修」事業

独立行政法人福祉医療機構様より助成金をいただき、障がい者の特性や強みに着目した仕事・組織・環境作り(保護者の理解も含む)をすることを目的に、現状を把握するためのアンケート調査や先行事例の検討をしてそれらのメカニズムを探り、その成果を踏まえたテキストを作成、研修を開催しました。

東京会場 3月2日 / 大阪会場 3月5日に開催しました。

【背景】

我が国は2014年に障害者権利条約に批准した。その条約の第27条には労働及び雇用について記されており、障がい者の「働く権利」が重要であることが明文化されている。第27条で想定される雇用は、企業における一般就労を前提としたものであり、その企業の法定雇用率は2年後、2%から2.2%に上昇する予定である。しかし、我が国の、障がい者の企業への就労は少なく、障がい者就労支援事業所からの一般就労への移行率は約5%にすぎない。

この理由の1つとして、障がい者が就労継続支援事業所において、非常に長期間、「訓練を受けている者」と考えられていることが挙げられる。つまり、そこで働く障がい者は、今後のキャリアをふまえながら「労働者」として仕事ができるよう、期限を定めて教育・訓練をするという視点が少ないと考えられる。障がい者の特性や強みに着目し、それを仕事にマッチさせながら、障がい者自身が仕事に携われる(労働者として働ける)よう教育・訓練することは、上述した社会状況から見ても非常に重要なことであると考える。これは、就労支援事業所のみならず、一般企業においても同様である。

働きたい、働けると考える障がい者が一定数いて、環境さえ整備すれば「労働者」となり得るが、働くための環境が整っていないがために、彼らの労働の機会を損失し、労働の権利(ディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事))が達成されていないという課題がある。

 

【本事業の目的】

  • 先行研究や先駆的な事例から障がい者の特性や強みに着目した仕事・組織・環境づくり(保護者の理解も含む)についての知見をまとめること。
  • 就労継続支援A・B型事業所や特例子会社等の企業を対象として、1の知見もふまえて障がい者の特性や強みに着目した仕事・組織・環境づくり(保護者の理解も含む)についてアンケート調査を行い、現状や課題等を明らかにすること。
  • 先行研究をふまえて障がい者の家族・保護者に対してアンケート調査を行い、障がい者の自立・自律を阻む要因について明らかにすること。
  • 1~3の結果より、障がい者の特性や強みに着目した仕事・組織・環境づくり(保護者の理解も含む)についての研修(セミナー)を開催すること、テキストを作成すること。

 

【本事業の内容】

本事業は、有識者、障がい者福祉・雇用の専門家、障がい者の権利についての専門家、障がい者就労・雇用の実践者・関係者10名で構成された委員会を全3回実施し、目的に沿った事業内容について検討、議論しながら進めた。

まず、先行研究や先駆的な事例から障がい者の特性や強みに着目した仕事・組織・環境づくり(保護者の理解も含む)についての知見をまとめた。

その後、就労継続支援A・B型事業所や特例子会社等の企業を対象として、障がい者の特性や強みに着目した仕事・組織・環境づくり(保護者の理解も含む)についてアンケート調査を実施した。アンケート調査の前後に、全国の先駆的な取り組みを行っている特例子会社、企業、就労継続支援事業所に対してインタビュー調査を実施した。障がい者の家族・保護者に対してアンケート調査を実施した。

調査結果をもとに、現状やニーズをふまえながら、目指すべき障がい者雇用・就労のあり方についての研修(セミナー)を組み立て、東京・大阪にて実施した。

本事業所の集大成として、障がい者の特性に着目した仕事・組織づくりについてワークブック形式でまとめた。

 

【本事業の成果・課題】

先行研究や調査の結果から、障がい者の雇用・就労が上手くいっている企業や事業所は、障がい特性に応じた仕事の内容についても配慮することが大切であるが、それ以上に、障がい者の特性や性格に合った柔軟な対応ができる組織であるかどうかであることが重要であった。特に以下5点について、特に意識して取り組んでいた。

本事業では、それを「障がい者がディーセント・ワークを達成するために -5 つのエッセンス -」 としている。

1. 個々の特性や強みを活かす

2. 本人の気づきとモチベーションを高める

3. 理念や目標を共有し、チームで仕事をする

4. 失敗しながら成長に向けて挑戦する

5. 柔軟であるための「あそび」をもつ

また、「企業・特例子会社」、「就労継続支援A型事業所」、「就労継続支援B型事業所」は、それぞれ「障がい者の働く場所」ということは共通しているが、それぞれが考える「障がい者にとって働きやすい組織・職場」は少しずつ異なっていることが明らかとなった。

 

企業・特例子会社

○サポートを受け、失敗を乗り越えながら、組織の一員として成長できる環境づくり

○チームで進める障がい者雇用

○障がい者が主体的に働けるような取組み

主体的に働く場

 

就労継続支援B型事業所

○居場所と感じられる、自分に自信が持てるような職場づくり

○チームで進める障がい者就労

○自主的にやる気を持って仕事ができるような取組み

○障がい者同士がポジティブに関われている状態

居場所・仕事の場

 

就労継続支援A型事業所

○安心安全な環境下で、障がい者が成長し主体的に仕事ができる環境づくり

○チームで進める障がい者就労

○障がい者同士がポジティブに関われている状態

サポートを受けながら主体的に働く場

 

上記「5つのエッセンス」と「企業と福祉事業所が考える障がい者にとって働きやすい組織・職場」の詳細については、ワークブック参照のこと。

障がい者(特に知的障がい者)の家族・保護者に対する調査では、家族・保護者が、周囲からの差別や偏見を感じながら、子育てに関してもっと体験させてあげたいことがあったなど、特に障がい者の親の複雑な心境があらためて確認された。障がい者が働く時には、しばしば「自立」がしずらくなる要因の1つとして、家族や保護者が障がい者を保護しすぎていると述べられることもあるが、そうせざるを得なかった社会的背景や家族・保護者のサポートも含めた、障がい者の自立・自律支援の必要が示唆された。

※本事業における全ての調査結果については4月末に本事業所のHPに掲載予定。

 

【新たな課題とニーズ】

ワークブックでは、障がい者雇用・就労が成功するための要素として、「障がい者がディーセント・ワークを達成するために−5 つのエッセンス−」を挙げ、主に組織や障がい者の自己理解について説明したか。しかし、成功の要素としては、それ以外にも、事業を行うマーケット(市場)や障がい者の能力に合わせた差別化(SWOT 分析 ) など、ビジネスのマーケットを読みながら進めていくことも非常に重要である。これらの要素についての抽出や検討などについては、次回の課題としたい。

また、障がい者の特性に着目した仕事を作り、障がい者の働く環境を整えるためには、組織全体が試行錯誤をしながら、適切な働く環境を作り続けるという姿勢が必要であるが、就労支援事業所や企業ではその担当者が1人で奮闘しており、モチベーションの低下や諦めといったマイナスのサイクルを辿っている場合も多い。そのような担当者を対象とした、きめ細かな研修の実施についても検討する必要がある。

さらに、障がい者が仕事を続け、自立・自律に向かって挑戦していくためには、その家族や保護者による影響が大きい。家族や保護者の思いや考えについてより詳細に把握する必要がある。

 

【委員会メンバー( 敬称略・五十音順 )】

委員長
小澤温 ( 筑波大学人間系 教授 )

委員
朝日雅也 ( 埼玉県立大学保健医療福祉学部 教授 )

岡井敏 ( 株式会社ゼネラルパートナーズ取締役 副社長 )

川端伸子 ( 公益社団法人あい権利擁護支援ネット )

玉城卓 ( 合同会社ソルファコミュニティ 代表 )

筒井啓介 (NPO 法人コミュニティワークス 理事長 )

中島隆信 ( 慶應義塾大学商学部 教授 )

仲地宗幸 ( 株式会社 NSP キングコング 専務取締役 )

中尾文香 (NPO 法人ディーセントワーク・ラボ )

船谷博生 (NPO 法人ディーセントワーク・ラボ )

その他

これまでの実績

調査中
平成29 年度独立行政法人福祉医療機構社会福祉振興助成事業
「障がい者の特性に着目した仕事作り研修事業」
現在、DWL では独立行政法人福祉医療機構の助成を受けて全国調査を実施中です。結果に関しては2018 年春にこのページで公表予定 です。しばらくお待ちください。
2017年
出版 中尾文香 「障害者への就労支援のあり方についての研究:就労継続支援B型事業所をフィールドとした混合研究法による考察」風間書房,2017年
講演 中尾文香 上田市人権男女共同参画課「働く人に喜びと安心を!〜働きがいのある仕事とは〜」講師、2017/2/19
講演 中尾文香 東京成徳大学応用心理学部福祉心理学科公開シンポジウム「障がい者の就労について考えるー働く意義と価値、QOLとQWLー」シンポジスト、2017/7/22
著作 中尾文香「障害者福祉の現場からどう社会に変化を起こすか-日々の実践とソーシャルアクションを結ぶ-」『社会福祉研究』127号、2017年
著作 中尾文香「就労継続支援事業所における組織運営のあり方と新たな社会的価値の創造」『発達障害研究』39(4)、2017年
学会発表 Ayaka NAKAO Hiroo FUNAYA 2017 IASSIDD(International Association for the Scientific Study of Intellectual and Developmental Disabilities) 4th Asia-Pacific Regional Congress Oral Presentation; The Key Factors for Improving QWL (Quality of Working Life) for People With Disabilities in Work Continuance Support B Type Office in Japan -Through “Temil Project” and “equalto Project”
学会発表 Muneyuki Nakachi, Ayaka Nakao, Suguru Tamaki and Hiroo Funaya 2017 IASSIDD(International Association for the Scientific Study of Intellectual and Developmental Disabilities) 4th Asia-Pacific Regional Congress Oral Presentation; The Successful Factors for Matching Different Types of Disabilities to Work -Two Case Verification in Work Continuance Support A Type Office in Japan-
2016年
講演 中尾文香 ひかり福祉会第34回研究集会「支援現場に役立つ基礎知識(基本にすべきこと)」2016/2/27
講演 中尾文香 N女×日本財団CANPAN・NPOフォーラム「女性たちのシェアで広げる社会貢献 ~一夜限りのキフカッション&交流パーティー~」パネラー、2016/12/9日
講演 船谷博生 神奈川県中小企業家同友会障害者委員会セミナー「売れない商品を魅力ある商品・売れる仕組みに変える極意とは?」2016/3/23
著作 中尾文香 「就労継続支援B型事業所における障害者のための QWL(Quality of Working Life)の構造-所長を対象とした全国アンケート調査の結果から-」『社会福祉学評論』16,42-56、2016年
著作 中尾文香 2016年度 東洋大学審査学位論文「就労継続支援B型事業所における知的障害者の【著作】Quality of Working Life(QWL)のあり方について-混合研究法による考察-」、2016年
学会発表 Ayaka NAKAO and Hiroo FUNAYA: IASSIDD( International Association for the Scientific Study of Intellectual and Developmental Disabilities) World Congress2016 Oral Presentation; Quality of work life in Work Continuance Support B-Type Offices in Japan: Evaluation of the Temil Project.
2015年
講演 中尾文香 NPO法人アクセプションズ「ダウンズ・イノベーションズ」での講演「デザインの力 『知的障がい者の就労を考える』」2015/1/17
著作 中尾文香「ディーセント・ワークについて」全国社会就労センター協議会編『改訂 社会就労センターハンドブック』全国社会福祉協議会出版部、2015年
著作 船谷博生 第三章(1)担当執筆 全国社会就労センター協議会編『改訂 社会就労センターハンドブック』全国社会福祉協議会出版部、2015年
著作 船谷博生「企画力を高める」『さぽーと:知的障害福祉研究』日本知的障害者福祉協会、697号、26-29、2015年
著作 船谷博生「訪問記 沖縄県・株式会社NSP キングコング」『さぽーと:知的障害福祉研究』日本知的障害者福祉協会、700号、6-9、2015年
著作 船谷博生「作業支援のあり方」全国社会就労センター協議会編『改訂 社会就労センターハンドブック』全国社会福祉協議会出版部、2015年
2014年
講演 中尾文香 「プラスに働く障がい者雇用を目指してー来るべき法定雇用率上昇の達成に向け、障がい者雇用を創るー」 講師、2017/4/19
講演 船谷博生 南砺市農産物直売所・加工グループ連絡協議会「これからの障害者支援施設における農業参入」 2014/1/24
講演 船谷博生 せたがや創業セミナー2014/11/8・船谷博生 すぎなみ地域大学「コミュニティビジネスシンポジウム」2014/3/1
講演 船谷博生 社会起業家養成ゼミ「障がい者・一流シェフ・絵本作家の協働でスイーツを作る」2014/10/27
講演 船谷博生 日本フィランソロフィー協会「CSR-CSV時代における企業フィランソロフィーの意義とあり方」2014/9/17
著作 特定非営利活動法人コミュニティワークス・中尾文香「平成 25年度独立行政法人福祉医療機構 社会福祉振興助成事業 B型事業所のディーセント・ワーク研修事業 報告書」2014年(2-201執筆)
著作 船谷博生「失敗する権利を保障する-働きがいは失敗の支援から-」『さぽーと:知的障害福祉研究』日本知的障害者福祉協会、693号、19-20、2014年
著作 中尾文香「特集2 主体的に働くからこそ得られるもの」『さぽーと:知的障害福祉研究』日本知的障害者福祉協会、693号、14-18、2014年
著作 特定非営利活動法人コミュニティワークス・中尾文香・松上利男「平成 25年度独立行政法人福祉医療機構 社会福祉振興助成事業『B型事業所のディーセント・ワーク研修事業『B型事業所で働きがいのある人間らしい仕事をつくる ワークブック/チェックリスト編』』2014年(2-80、88-94執筆)
2013年
講演 中尾文香 川崎市男女共同参画センター「内閣府委託事業 現役・次世代をつなぐ女性活躍推進事業 わたしらしく『働く』ことを選んだら こんな人生が待っていた! ~社会の課題を解決に向けて取り組む2人の女性キャリアに学ぶ~」講師、2013/11/14
講演 船谷博生 高知県知的障害者福祉協会施設長会講演「知的障害者福祉がおかれている現状」2013/5/13
講演 船谷博生 愛知県知的障害関係施設職員研究大会シンポジスト「今、必要な支援を考える」
講演 船谷博生 第50回近畿地区職員研修会「就労・生産活動と創作への取り組み」2014/3/13
著作 中尾文香「ディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)について-その1」『さぽーと:知的障害福祉研究』日本知的障害者福祉協会、678号、40-46、2013年
著作 中尾文香「ディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)について-その2」『さぽーと:知的障害福祉研究』日本知的障害者福祉協会、679号、44-49、2013年
著作 中尾文香「ディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)について-その3」『さぽーと:知的障害福祉研究』日本知的障害者福祉協会、680号、42-48、2013年
著作 特定非営利活動法人コミュニティワークス・中尾文香「平成 24年度独立行政法人福祉医療機構社会福祉振興助成事業 就労継続支援従事者(管理者・職員)研修事業 報告書」2013年(2-160執筆)
著作 船谷博生「知的障がい者だからこその就労を考える;ドイツ、ハンブルグの視察を通して」『さぽーと:知的障害福祉研究』日本知的障害者福祉協会、682号、44-47、2013年
著作 船谷博生「ソーシャルインクルージョンを目指したカフェ・テミカフェ」『さぽーと:知的障害福祉研究』日本知的障害者福祉協会、675号、38-41、2013年
学会発表 中尾文香・船谷博生 日本社会福祉学会 第61回秋季大会(2013) 口頭発表「就労継続支援B型事業所における就労についての意識と課題」
2012年
講演 船谷博生 社会福祉法人すずらんの会(相模原市)「障害のある人たちと仕事をつなぐ先行事例」2012/2/8
著作 船谷博生「商品品質をコアバリューとしてブランディングを目指して」『さぽーと:知的障害福祉研究』日本知的障害者福祉協会、664号、24-25、2012年
学会発表 中尾文香・船谷博生 日本社会福祉学会 第60回秋季大会(2012) 口頭発表「就労継続支援施設における工賃の向上を阻む要因 」